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新しい社会システム③ 〜地域デジタル通貨がつくるグローカル経済〜

 

前回のブログでは、「地方開疎」「グローカル」な社会をつくるために、抜本的な地方分権改革が必要であると書きました。

 

ただ、いくら行政制度を整えても、経済が回らなければ社会システムとして意味がありません。地産地消を促し、ローカル経済を強化する切り札として、私は道州が発行する「地域デジタル通貨」という制度を考えています。

 

地域デジタル通貨には、

・道州が発行し、その道州に住む住民が地方銀行を窓口として日本円で購入できる。

・購入したデジタル通貨は、スマートフォンやマイナンバーカードにチャージして使う。

・一定期間に道州が発行できる総量と、一人の住民が購入できる金額に上限を設ける。

・道州内に本社を置く事業所や店舗のみで使えるようにするなど、ローカル経済循環に使途を限定する。

 

上記のような特徴を持たせます。具体的な仕組みは下の図のようになります。

例えば、10%のプラスをつけて地域デジタル通貨を発行すると仮定します。地方銀行を窓口とするので、住民は日本円(10,000円としましょう)と手数料を支払って地域デジタル通貨との交換を依頼します。その場で地方銀行が道州とやり取りをして、11,000円分の地域デジタル通貨が発行され、住民はスマホやマイナンバーカードにチャージしたデジタル通貨を地元商店などで日本円と同じように使うことができます。

 

この地域デジタル通貨は、同じ道州内の事業者間の決済にも勿論使えますので、私のイメージでは「道州内の決済は地域デジタル通貨、道州外の決済は日本円」となり、地域デジタル通貨にインセンティブがあることで地産地消が促進してローカル経済の循環が良くなると考えます。

 

また副次的ですが、ローカル経済を支える地方銀行の救済という狙いもあります。長らく続く超低金利政策により経営を圧迫され、大手銀行のように海外運用を増やすのも限界がある多くの地方銀行は、合併・大再編が指摘される苦境に陥っています。「地域デジタル通貨」の制度に地方銀行を組み込むことで、かなりの手数料収入を見込め、地方銀行の体力を相当回復させることができるでしょう。地域の事業者が頼れる地方銀行の存在は、ローカル経済にとって本当に大事なので、この制度を活用して地方銀行に安定した経営基盤を確保させるべきだと考えます。

 

私が今回提唱させていただいた「地域デジタル通貨」という制度、いかがでしょうか?

「いくら今の都道府県より規模の大きな道州だからといって、地方自治体に通貨発行権を持たせて良いのか」といったご意見もあろうかと存じます。ぜひコメント欄に忌憚のないご意見を頂戴できれば幸いです。

 

次回は、新しい時代の社会保障について考察してみたいと思います。