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持続可能なまちづくりに向けて 〜コンパクトシティの観点から〜

11月11日(金)、お誘いを頂き富山市にて開催された第29回地方シンクタンクフォーラム(主催:地方シンクタンク協議会 後援:公益財団法人NIRA総合研究開発機構)に参加してきました。

 

今回のフォーラムテーマが「コンパクトシティ」だったことも、強く関心を持った理由でした。

 

これは現職時代、2年間ずっと所属させていただいた衆議院国土交通委員会でも度々議論となったテーマであり、人口減少・超高齢化時代に備えて、生活サービス機能と居住を中心市街地に集約・誘導し、人口を集積することにより暮らしやすいまちの水準を維持しようという取り組みです。

 

富山市は、現在4期目を務める森雅志市長が平成14年(2002年)に就任して以来、全国に先駆けてコンパクトシティ実現に取り掛り、一定の成果を収めています。それが評価され、国から「環境モデル都市」「環境未来都市」に、そしてOECD(経済開発協力機構)からはメルボルン・バンクーバー・パリ・ポートランドと並び「コンパクトシティ世界先進モデル都市」に指定されています。

 

森市長には、平成26年4月の衆議院国土交通委員会へ参考人としてお招きし、富山市の取り組みについてお話しいただいたことを思い出します。

 

今回のフォーラムでは、富山市都市整備部長の高森氏から、取り組みの詳細や最新の状況と課題についてお聞きすることができました。

 

富山市のまちづくりの内容については、コチラの日経WEB記事がうまくまとめていますので、ぜひクリックしてご一読ください。

 

詳細は上記記事に譲りますが、取り組みの始まりであり核となったのが、写真のLRT(次世代型路面電車システム)導入でした。これを契機として、元々恵まれていた鉄軌道網にバス等の公共交通を活性化させ、駅や停留所の徒歩圏に生活サービス機能と居住区域を集積させたことが、富山市の取り組みの最大の特徴です。

 

約15年にわたって継続的かつ複合的なコンパクトシティ化に取り組んできた結果、中心市街地への民間投資が活発化し、商業施設・シネマコンプレックス・高層マンション等が新設されました。まちを歩く歩行者の数が7年で18%も増加し、商店街等の空き店舗が4年で1.3%減少したそうです。また、地価の上昇や転入人口の増加など、選ばれる都市へ着実に歩みを進めていることは、数字だけでなく今回実際にまちを歩いて肌で感じました。

 

フォーラムで非常に印象的だったのが、後半のパネルディスカッションで他のパネリストから「縮退市街地における課題」というタイトルでコンパクト化を進める上で発生する問題について発言があった際でした。

高森都市整備部長が「コンパクトシティは、どうしても『縮退』といった表現でマイナスの議論となることが多いが、それでは市民は動かない。『仕事終わりに一杯飲んでも、公共交通で帰れるまち』『ぶらり歩きが楽しい中心市街地』といったプラス面にもっと光を当てるべきだ」と言われたのです。

 

本当にその通りだと思いました。さらにこういった前向きな現場担当者がいるからこそ、富山市の取り組みは前に進み、成功を収めているのだとも。

 

話は少し飛びますが、旧日本維新の会と次世代の党で同僚だった松田学前衆議院議員は、日本は「課題先進国」であるという表現を使われています。他の先進国がこれから直面する超高齢化・人口減少といった問題に世界で一番早く向き合わなければならない日本は、逆転の発想でそうした課題に前向きに取り組み、様々な解決策を世界に向けて輸出していくことで、トップランナーとして世界をリードしていくべきだと。

 

カラ元気で問題を見ないふりをするのは絶対に避けるべきですが、悲観的過ぎる理念や政策では人は動きません。これからの政治の鍵は、厳しい諸課題に真正面から向き合いながらも、どれだけ将来への希望を具体的に提示できるかだと改めて感じています。

 

そして、これはコンパクトシティではなく「スマートシティ」の範疇に入るトピックですが、総務省大臣官房審議官(地域情報化担当)の猿渡知之氏からお話があった、「マイナンバーカードを活用した地域経済好循環に向けた取り組み」の説明は大変興味深かったです。

 

簡単に書くと、

 

①図書館等の公共施設利用者カードをマイナンバーカードに集約する。1枚で様々なサービス利用が可能となり、何枚もカードを持ち歩く必要がなくなる。

 

②最近少しずつ取り組みが始まっている「自治体ポイント」(子育て支援ポイント等、自治体が独自に発行して地域で使えるポイント)のプラットフォームとして活用する。さらに、クレジットカードの利用ポイントや航空会社のマイレージポイント等も「地域経済応援ポイント」として変換して、同じように地域で使うことができるようにする。(当然、セキュリティ対策として暗証番号制を導入)

 

以上のような活用方法を現在検討し、進めようとしているそうです。

 

「国民の側に何のメリットもない」と何かと不評のマイナンバーカードですが、こうした幅広い活用が行われれば、普及も進んでいくのではないかなと感じました。

 

最後に、平成26年4月9日の衆議院国土交通委員会での、コンパクトシティ化に向けての誘導政策に関する私の質疑映像をアップします。ご関心ある方はぜひご覧ください。

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コメント: 2
  • #1

    カワナカ (日曜日, 29 1月 2017 21:22)

    日頃よりのご努力、ご活躍を応援させていただいてます。この度、師友塾が閉校のの運びとなりました。大変残念でなりません。

  • #2

    さかもと大輔 (日曜日, 05 2月 2017 18:20)

    >カワナカ様
    コメントありがとうございました。応援感謝申し上げます。
    尾道の師友塾高等学校の件ですね。私も何度となく伺わせていただいた場所なので、残念です。